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day's eye & lily

つぼみも満開も枯れた花も

家を出る日のために

家を出る日のために (よりみちパン!セ) 辰巳 渚

 

私がはじめて家を出たのは、結婚した時でした。だからといって「箱入り娘」だったかとはどうかと思いますが…。 就職して満員電車の東京を通過した通勤や終電での帰宅に辟易したり、だんだん実家に暮らすことに対して窮屈で「出たい」と思いを抱いて賃貸物件を探しにいったことが数度ありました。 出なかった理由ももちろんありますが、出なかったことで親が祖父母の介護に向き合っている姿やそれに伴う親戚との関わり合いなどをダイレクトに見たなあ、と当時を振り返ると思うわけです。 この辰巳渚さんの「家を出る日のために」は、よりみちパン!セという(現在はイースト・プレスに移管されていますが、理論社によるシリーズでした)だいたい中高生向けに書かれているシリーズのひとつです。 辰巳渚さんは、ecomom(子育て女性向けの日経無料マガジン。登録すると冊子が届く。オンラインサイトもあり)という雑誌の中でもよく登場され、「家事塾」というものを開いてる、くらいは知っていました。 本文中で、辰巳さんは自身が小さい頃から喘息もちで、そのため母親が心配心から過干渉気味であったことにも触れています。 小学二年の時に出会ったK先生という医師の方が、治療方針の説明を辰巳さんへしようとしたときに、横から母親が答えようとしたときに、「お母さんは黙っていてください。渚ちゃんに聞いているんですよ」と制してくれたこと。 "おおげさに聞こえるかもしれないが、私はそのとき、自分の身体を取り戻し、はじめて自分の言葉を得たのだと思っている。" 家を出ることは、物理的に親のいる屋根から出ること、自立の一歩、だと思っていますが、物理的でない、心の一歩、を感じた過去を思い出しつつ、この本を読んでみました。

 

 

1時間目 「暮らし」とは「生きる」こと (あなたの身体は、あなたのものかひとりで生きるということ ほか) 2時間目 失われた、暮らしの土台 (「本当の暮らし」とはなんだろう「ないもの」はなにか ほか) 3時間目 私たちのための新しい暮らし (暮らしの土台を築くもの「おばあちゃんの知恵」ブーム ほか) 4時間目 「家事塾」開校!! (自分の暮らしを生きる「一人前」とはどういうことか ほか) 5時間目 「家出テスト」(実技テスト 常識テスト ほか)

 

1時間目の章末のことばより 家を出るその日のために、いまから準備をはじめよう。 学校の勉強をしているだけでは、間に合わない。 勉強は、働いてお金をもらうための基礎体力をつけるもの。 働いてお金をもらえるようになるだけでは、ひとりで自分の暮らしを生きていくことはできない。 生きていくための技術を、覚えよう。 それは、あなたたちのお父さん、お母さんが、日々の暮らしでしていることだ。 一見つまらない、くりかえしの、簡単な仕事だ。 でも、あなたたちは知らない。覚えようとして身につけなければ、その仕事はぜったいに身につかないことを。 見ているだけではつまらない仕事なのに、自分の力でしはじめると奥深い豊かさを秘めていることを。 明日からでも、少しずつ始めてほしい。「手伝いなさい」と言われなくても、自分から自分のことをするようにしてほしい。家族のために、家の仕事を進んでやってみる努力をしてほしい。

 

独り暮らし、をスキップして結婚して二人暮らし、そして三人、四人暮らしとなりました。 自分がやらなければ温かいご飯も出てこないし、ごみは溜まるし、服は汚れたままになる、そんな暮らしになっても、家事にすごく混乱させられた記憶がないのは、実家でああやっていたな、ということがあったからだと思う。そこは親に感謝してる。 そして成長を続ける幼い子どもたちと夫と暮らしてゆくことには、ルーティンに行うことがぐんと増え、夫の協力もあるものの、「自分でやるしかない」というもの。 先日、上の子が流しに立ってお皿を洗ってくれました。 平日朝夕だと、仕事に出ないとならないとか、早く寝かしつけないと、という追われる中なので、なかなか子どもにお皿をゆっくり洗われると…と思っていました。 だから休日の朝に、だったのですが、嬉しそうに洗う姿をみて、そういう機会をもってあげるのも取り上げるのも、自分の裁量に関わってるとつくづく思う。 そう、家事を自分でやるだけでなく、家族が自分でできる、という機会もつくる役目も今はもっているのでした。 家事ってどうして大事なの。 それを考えさせてくれる良書だと思います。