ブレンダと呼ばれた少年

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ブレンダと呼ばれた少年―ジョンズ・ホプキンス病院で何が起きたのか 扶桑社版(2005)

無名舎(2000)版は絶版

1967年、アメリカで包皮切除手術に失敗した8ヶ月の双子の男の子のひとりが、性科学の権威、ジョン・マネーの勧めによって、性転換手術を受け、ブレンダという名前で女の子として育てられた。 性転換をすれば、女性の生殖機能を持つことができ、正常な性生活をおくれるとマネーは説得したが、実は、ブレンダは「性別の自己認識は環境的要因によって決まる」というマネーの理論を裏付けるための格好のモルモットとして利用されたにすぎなかった。 マネーは、この症例を医学ジャーナルに発表し、自説の正当性を主張し、キンゼーレポート以来の偉大な発見としてセンセーションを呼ぶ。 だが、少女となった男の子のこころと身体は、成長するにつれ重大な危機を迎える…。

 

この本は2000年無名舎版で読んだことがあります。

実はその無名舎版の出版の後に、この当事者の双子が自殺したようで

Amazonのカスタマーレビューより)、恐ろしい実験が実際に行われたことに改めて驚きました。

性というヒトの命の根底にあるものを人為的に方向づけできる

という考えの元、ある科学者の強い思想の中で苦しんだ子供たち。

自己認識という成長過程で得ていく能力には、性というものが

大きく関わるでしょうし、身体・精神的に成熟し、そして生命として

衰えてゆくまで、この性というものは意識・無意識の中で大きな位置を占めるように思います。