石内 都 凱旋展

世界各国から数多くの作品が集まるヴェネツィアビエンナーレでは、 ひとつのパビリオン内での鑑賞者の滞在時間が短いといわれています。 そのなかで、私の写真の前で足を止めてくださる方々が多かったことには 正直いって驚きました。 なかには涙を流してじっと作品を見つめている方もいらっしゃいましたね。 個人的な問題から出発した「mother's」というテーマですが、 こうしてみると母と娘の関係というのは世界中で抱えている普遍的な問題のようです。

 

昨年、海外で展示された石内 都さんの「mother's」が東京都写真美術館で凱旋展として行われるそうです。 わたしが足を運んで見に行った写真家のひとりで、彼女のモノクロは皮膚感覚が浮き上がってくる肌理が印象的です。 このmother'sを見ていると、自分の母親が残してゆくものって何だろうってふと考えてみたりします。 この写真を撮るいきさつは、彼女の本「キズアト 」に書かれています。

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東京都写真美術館 

http://www.syabi.com/details/ishiuchi.html

http://www.syabi.com/topics/t_ishiuchi.html

■会 期 : 2006年9月23日(土・祝)→11月5日(日) ■休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日) ■会 場 : 2階展示室 ■料 金 : 一般 700円/学生 600)円/中高生・65歳以上 500円

 

東京都写真美術館では、昨年第51回を迎えたヴェネツィアビエンナーレに参加し、日本館で催された展覧会の凱旋を記念して、「石内都:mother's」展を開催いたします。 石内都は「絶唱・横須賀ストーリー」や「APARTMENT」で注目され、79年、第4回木村伊兵衛賞を受賞し、その後、ニューヨーク近代美術館等に作品が収蔵、国内外で展覧会が開催されるなど国際的に活躍する日本を代表する写真家です。本年は「日本写真協会賞作家賞」も受賞いたしました。 

「mother's」と題された作品は、石内都が波乱の半生を背負った「母」をひとりの「女」としてとらえ、身につけていた衣類や、遺品などから織りなされるシリーズです。使いかけの口紅、髪の毛のついた櫛、入れ歯や鬘、肌の表面のクローズアップ・・・。母が遺した様々な「もの」を丁寧に見ることによって、彼女は確執が深かったという母との関係を静かに見つめ、「想像以上の悲しみ」を噛み締めるように確認しています。84歳の生を生き抜いた一人の自立した現代女性に捧げたオマージュです。現代美術が現代の社会を反映し、半歩先の未来を予感させるものだとしたら、日本を代表する石内都の作品は、変化の著しい現代日本女性の意識を扱った、優れた作品であるといえるでしょう。未発表作と新作の映像作品も加えた「mother's」完全版を、是非、ご高覧ください。