猫を抱いて象と泳ぐ
新聞の文芸雑誌書評の時から気になっていた小川洋子さんの作品。
『博士が愛した数式』で数字の不思議、数式の美しさを小説にこめた著者が、 こんどはチェスというゲームの不思議、棋譜の美しさをみごとに生かし、 無垢な魂をもったひとりの少年の数奇な人生をせつなくも美しく描きあげました。 かつてない傑作の誕生です!
小川さんの作品は淡々とその光景が続いてゆき、文字を辿って想像していくことが楽しみの一つでもあります。 天才少年・・・から、数学の天才少年であった調香師の話も思い出されます。 今までの作品を読んでいて、速記者やチェンバロ製作者、標本を作製する人、 ロシア語翻訳者(あげればきりがありませんが)など、小川さんの目が留まる 職業って観点でも面白い。