正しいパンツのたたみ方/人生の答えは家庭科に聞け!

「男は保育士になれないの?」「結婚って何?」「同性を好きになったらダメなの?」…高校生やその家族たちが抱える悩みや課題を漫画で表し、それらを受けて家庭科のプロが考え方や生きるヒントをアドバイス。NHK高校講座「家庭総合」から生まれた、人生の決断を豊かにしてくれる一冊。 

 

家庭科は、自分の暮らしを自分で整える力だけでなく、この社会の中で他者とともに生きていく力を育ててくれる教科だと実感した著者は、自ら専任教員となる。ご飯の作り方、お金とのつきあい方、時間の使い方など自立にあたってどんな知識や技術が必要か、10代の暮らしに沿って具体的にアドバイスする。 

ブログ書こうかなと思った日に限って、5時台に起きてきて読書する下の子…そして、もらったすごろくのサイコロを切り取ってくれと頼まれ。

 

どちらも、図書館のヤングコーナー(中高生向け)で見つけて、ああそういえば読みたい本リストに入ってたかなと思って借りてきました。どちらも、南野忠春さんの著書・共著です。

「人生の答えは家庭科に聞け!」は漫画もまじえながら、暮らしていく中で、人生の中で出会う場面をわかりやすく、そしてそんな時に君はどう考える?というのを長ったらしくなく説教たれるものでもなく(中高生向けでもあり)解説してくれています。

  • 1章 自分を知る
  • 2章 人生はどう始まり、どう終わる?
  • 3章 家族って何だろう?
  • 4章 衣食のジレンマ
  • 5章 支えあって生きる
  • 6章 生活することが、社会を変える
  • 7章 人生をデザインする

普通の家庭科授業って、記憶をたどってみると、やはり課題、試験、評価みたいなものがあって、楽しい分野もあったけれども、そんなに人生にどうとか考えることはあまりありませんでした。

高校のときは担当教員が2人いて、そのうち1人は校内でも有名な怖い先生でした。怖いというか厳しいというか、つっこみが容赦ないみたいな。

そんなK先生の調理実習は計画からカロリー計算、買い出し、実施、試食用盛り付けもみんなきびきびと(笑)。人生計画表をつくるにあたっては、(※当時、履修は女子のみでした。今は男女一緒ですよね)、"女性も仕事を続けていく時代"と先生の持論が。将来描いたそのとおりにならなくても考える機会みたいなものが授業で展開されていたのですね、今思えば。

 

そんな機会に恵まれなかったとしても、この本はライトな感じででも、暮らし、人生を考えるなかで主要科目とは違った意味での大事なことがあるんだよ、と教えてくれています。

「正しいパンツのたたみ方」でも、家事の大切さにとどまらず、4つの自立「生活的自立」「精神的自立」「経済的自立」「性的自立」を軸に、(こちらは漫画はありませんが)、中高生に教え込むというのではなく、考えてみよう、やってみようといったものになっています。

  • 序章 家庭科を学ぶ意味(バンツのたたみ方に悩む男性に温かいアドバイスを
    お互いの違いを知る教科 ほか)
  • 1章 いま、生きているワタシ(目指せ!弁当高校生 さわやかな朝の目覚めのために ほか)
  • 2章 家族の中で生きる(家族って誰のこと?家族のかたち ほか)
  • 3章 社会の中で生きている(働くということ 何のために働きますか ほか)
  • 終章 ゆたかに生きるためのスキル(あなたの遊びはどのレベル? DVフリーの恋愛関係 ほか)

家庭科って名前が、ほんと、家庭=家事、育児、という結びつきが強いようにも思いますが、小学生低学年では「生活科」(理科、社会)ってあるんですよね。むしろ言葉から"生活"のほうが合ってるんじゃないかしらなんて思っちゃったり。

先日、保護者会で、どんな大人に育ってほしいかというテーマで参加されたお母さんたちとちょっとした話をし合う機会があったのですが、その中でも多くが「自立して生きてほしい」「自分で決めて生きていってほしい」ということが出ていました。就労であったり、自分のことは自分でできるように、であったり。そのスキルももちろん、マインドももってほしいということなんですよね。

最後の方では、DVについても触れていて、なかなか大人(特に夫婦・パートナー)よりも若い同士での支配・依存について教えてくれる機会は少ないのかもしれません。

「家族」という閉じられた狭い人間関係の中に自分の幸福を「依存」してしまうと、どうしても相手をコントロールせずにはいられなくなります。思うように動いてくれないと自分が不幸になってしまうからです。 

生きていれば辛いときもあります。でも「一人を楽しめる人」は、その辛い時期や出来事を「誰かのせい」にせず、一人で乗り越えてゆきます。その過程で誰かに相談したり、愚痴を聞いてもらったりすることもあるかもしれません。でも最終的には、時間がかかっても自分自身で結論を出し、しっかりと立ち直ってゆきます。 

 

私は今度は、家庭科を履修していた側から、子どもを育てる親という立場になりました。大事なことだよなと思いながら言いながら、果たして、子どもたちは身につけていけるようなサポートができているんだろうか?という自問になってしまうのですが、「お母さんがいないとできない」「お母さんがやってくれるのが当たり前」という漬け込みでなく、「お母さんがやってくれていたけど、やってみよう」という意識を育ててあげることが課題なんでしょうね。