"「人生案内」 孫は来てよし、帰ってよし"
久々に行った図書館で偶然見つけたので読んでみました。
読売新聞の「人生案内」という相談コーナーにて、大日向雅美さんが回答された「祖父母と孫、娘・息子(嫁・婿)」に関する相談をまとめ、本になったとは聞いていました。
一気に読んでしまいましたが「あるあるこういう話よく出てくる」といった相談に、大日向先生らしい、優し厳しい言葉で返されています。
しかも、大きめの字で年配の方にも優しい(笑)。
目次はこちら。
1.孫を迎える心得~「距離感」を大切に
孫は来てよし、帰ってよし
・娘夫婦と孫が去り、寂しい
孫育ては、子離れ・乳離れのチャンス
・父母が干渉しすぎて、育児が楽しめない
・母が毎日訪れ、育児に口を出す
・母からの暴言に、耐えられない
助言と愛情の押しつけは、有難迷惑
・義父母に子どもをとられそう
・子育てに介入する姑
・「姑に悪気はない」と夫は聞く耳を持たず
孫育てに熱中しすぎて、祖父母の夫婦関係にひび
・娘一家の面倒を見すぎる妻
踏み込みすぎていないか、要チェック
・子どもの名前を夫婦でつけたい
・孫たちは同じ幼稚園に入ってほしい
・ひ孫の散歩を断られ、玄関に鍵
2.孫を育てる心得~老賢者たれ
孫の世話は本当に大変です
・四歳孫娘が泣きやまない
孫育ては、祖父の人生ルネッサンス
・二歳半の孫が人をかむ
年輪は必ずしも人格を保証しない
・四歳の孫と本気でケンカ
年長者として尊敬される祖父母であれ
・実家の父が乳児にメンタイコ
・幼児に酒を強要する親戚
思春期こそ、祖父母の出番です
・優秀な孫なのに母に口答え
・心に傷 不登校になった孫娘
思春期は祖父母にとっても難題山積
・孫娘と会話なく寂しい
・小六の孫が性に興味
祖父母らしさにとらわれないで
・昔の遊び 義父母が教えて
3.子ども夫婦と向き合う心得~大人どうしのつきあいを
孫の催促は、厳禁です
・孫出産に期待かける義母
・「男の子産め」繰り返す義父
・「子どもの作り方知らない」と言いたい放題
里帰り出産や実家の協力は当たり前ではない
・嫁の出産 手伝い断りたい
・妻が出産 義母の協力なし
・里帰り出産 父の言動に怒り
互いに相手の生活・都合を大切に
・隣に住む孫にもっと会いたい
・嫁と心が通じない
・帰省時にも近所の子どもを預かる義母
違いを認めて、否定せずの心で
・幼児がいるのに室内で犬
・夫に子を任せてのパートに、親が反対
・会社辞めろと迫る母
4.家と家 つきあう心得~マナーに始まり、マナーに終わる
通過儀礼の祝いは、無理せず・張り合わず
・余裕のない実家と派手な義父母
・娘の嫁ぎ先の祝いが少ない
・地域の風習にうるさい姑
互いの家の悪口は、タブー中のタブー
・実母が義母の悪口
・嫁とは断絶。孫にはお年玉をあげたい
義理の関係だからこそ、マナーを
・姑「嫁の子より娘の子」
異文化体験の心づもりで
・夫の家「祖父母には敬語」
5.孫から贈られる新たな出会い~ピンチをチャンスへ
孫が生まれて、親子関係に新たな展開
・娘から出産の手伝いを拒否された
・母の愛情表現に嫌悪感
実の孫の祖父母から地域の祖父母へ
・育児の祖父母任せは不愉快</font>
娘が成人して母となった後に実母との関係に苦しむ事例が、最近とみに増えています。
祖母世代が元気いっぱいで、エネルギーを孫育てに投入してくるからでしょう。
育児を手伝ってくださるのはありがたいことですが、実母の来訪が恐怖に思えるとは、問題が深刻です。
こうした事例の多くは、子ども時代から母親が何ごとにも指示的で、娘も自立心を持てない場合が大半です。("母が毎日訪れ、育児に手を出す" P.17)
自分の考えや生き方、孫を思う気持ちはだれにも負けない、と思っている祖父母は、いったんその気持ちにフタをするのが賢明です。「善意」と「経験知」に自信がある祖父母ほど、子ども夫婦にとって、厄介なものはないということを知るべきです。
自分が考えていること、見えていること、願っていることがすべてではない、正しいとは限らない、人がみな同じことを考えているとは限らない、と悟ることです。(P.33)
子ども夫婦との間に無用な衝突を避けるための親(祖父母)の心得は三つです。
第一に、「違いを認めて、否定せず」。
第二に、子育ての最終的な責任は、親(子ども夫婦)にあると達観すること。
第三に、助言をする時は、他人だと思ってマナーに気をつけること。言いたいことの半分くらいにとどめる心づもりが大切です。(P.105)
折しも、西日本新聞の連載があり、
【こんにちは!あかちゃん 第9部】核家族化の裏側で<2>過干渉で摩擦が生まれ - 西日本新聞
【こんにちは!あかちゃん 第9部】核家族化の裏側で<1>実家の支えに左右され - 西日本新聞
も読みましたが、ただでさえ「結婚」ということによって、自分の親だけでない人間関係が始まり、そして孫が生まれ、育つことで、これまた人間関係は増えたり変容していくのだなと実感します。
大日向先生がおっしゃっているように祖父母側の「節度」をもって、若い子育て夫婦が自立心をもってだんだん親として子ども(孫)を育てていけるように見守ってくれること、と、子ども夫婦側も親におんぶに抱っこすぎ(=乳離れできない)ないことが良好な大人関係を作っていくポイントなんでしょうが、頭でわかっても感情はなかなか難しいものですね。
第一子を出産し、慣れぬ育児の中で祖父母たちは「子どもを扱うには手慣れたもの」というのが感じられ、子どもを抱っこされた時に、なんとも言えぬ気持ちになったことがありました。
そりゃ、私はまだほんの育児をはじめたばかり。。少しの間子どもをお願いすることも、なんとなく引け目がありました。
徐々に自信というか子育てに慣れてきて、そういう気持ちは消えていったんですけども、やっぱり子どもたちを可愛がってくれる、大事にしてくれる祖父母の存在、という「良さ」「感謝」に辿り着くまでっていうのは時間とか一緒に過ごす機会がいるんでしょうね。
この本を読んでいて、寂しさや自分の生活の物足りなさから来る、相手への独りよがりな期待の投影は、相手のことを考えた上でのものではないことが得てしてありがち、なんだなぁと感じました。
私自身が孤独や不満にあふれている時に、気をつけなくちゃ…。