あなたの親を支えるための 介護準備ブック
※これは、2012-05-04当時のブログエントリーです
小室淑恵氏、株式会社ワーク・ライフバランスによる本で、WLB社のメルマガで知り書店で探したものの無く(結構大きい書店なのに)、Amazonで結局手に入れました。 こういう本って、書店で探す時、新刊コーナーになければ、介護コーナーになるのでしょうかね。内容としては「親の介護を考える働き盛りの世代」向けなので、ビジネス書の方にあったらいいのになあなんて思ったりしましたが。 思ったよりも、介護関連書籍コーナーって小さいのですね。「健康」「育児」コーナーは結構充実していたとしても。
目次
■はじめに 私がこの本を書いた理由
「そのときがきたら」と考えずに早め早めに準備しよう
「介護にかかる費用」をシミュレーション
介護にまつわる4つの誤解
・「親はまだまだ元気。介護なんて、考えたこともない」
・介護は誰の身にも降りかかる
・統計から見えてくる「一億総介護時代」の必然性
・「誰かに任せ切り」という選択肢の非現実性とリスク
介護を前向きにとらえるために はじめに心に留めたい4つのポイント
「家系図シート」で見える化される 介護にかかわる可能性
■知っておくべきこと
介護保険のしくみ
介護サービスの種類
介護施設 の種類
認知症の基本
介護サービスの新しい流れ
「サービス付高齢者向け住宅」「地域包括ケアシステム」
地域包括支援センター
■やっておくべきこと
ケース(1)残業削減の取り組みで介護との両立を実現
ケース(2)妻に任せ切りの結果、妻が「介護うつ」に
ワーク・ライフバランスの実践
ステップ(1)介護と仕事の両立のためには まずは働き方を変えること
ステップ(2)全員が定時に帰る職場をつくる 基本的な考え方とステップ
ステップ(3)まずはここからはじめる 業務改善の「朝・夜メール」
親のコミュニティ
法的制度と勤務先の制度 利用できるものを知っておく
介護退職を防止する取り組み
理解度と協力関係を深める事前準備と話し合いを
介護情報
■話し合っておくべきこと
ステップ(1)(2)親の「価値観」を聞いて情報を共有する
ステップ(3)資産状況・介護要望を共有する
ステップ(4)夫婦・兄弟姉妹との話し合い
運動と栄養で身体のバランスをとる 介護を遠ざけるよい習慣づくり
適度な刺激を受ける機会をつくる 遠距離の親は「見守りサービス」も
相手の状況を理解して感謝の言葉を 「介護連絡帳」で情報共有を徹底
■埋めてチェックする 10枚のワークシート
■おわりに
介護に対峙してイノベーションを今の自分には、始まって数年ばかり経って進行真っ最中の「育児」やそれに伴う家庭生活(家事など)と仕事といった"自分のすぐ身の回り"の事で頭がいっぱいになりがちなのですが、両方の両親とのコミュニケーションを取りながらも、ふと歳を取っていっているのだなぁと感じることがあります。 私は両親の親(祖父母)が介護状態にある状況を、親と住んでいる時に垣間見てきました。あくまでも娘観点ではありましたが、主たる介護者として担っていた時期、母は大変そうだった。 ただ、うちのケースでは介護が終わるのが母の周囲に比べると比較的早かったです。実父母の両親4人は既に他界しており、子どもたちは家を出て彼らはようやく自分自身の時間を持てているのかもしれません。 今、両親たちと会えば「かわいい孫」「育児の楽しさ大変さを自分たちの思い出をまじえて」などが話題の中心です。それは両親たちがそういう孫と触れ合える喜びを感じてくれているのだからいいのだけれども。 この本の前半では現在の介護を取り巻く現状がデータとともに書かれています。
◆2017年には2007年前後に退職した団塊世代が70歳を超え、要介護者の割合が急激に高まる年代に達します。大介護時代が訪れ、施設不足も予想されます。つまり、親の介護に時間を割きながら、仕事との両立に悩む団塊ジュニア世代が大量に発生することが見込まれるのです。
◆特養への入所待機は42万人 介護度の高い人を中心に受け入れる施設である特養は定員が埋まっていることが大半なので(中略)全国で見ると、この数は約42万人にのぼります。保育園の待機児童数の約2万5000人(2011年時点)と比較すると、その数の多さが実感できます。
◆介護休暇は使われていない 育児休業の取得率が女性では83.7%になっているのに対し、介護休業の取得率は1.5%と低調
後半では「やっておくべきこと」「話し合っておくべきこと」として具体的なポイントが挙げられています。巻末にはそれに役立つワークシートがあり、家系図などは介護に関わらず作ってみるといいのかなと。 (家系図は結婚した時に、父が作ってくれました。結婚すると冠婚葬祭で親戚関係色々ありますよね。メンテナンスしなきゃだけど) ケース例で読んでて「あぁ…」と特に感じたのは「妻に任せ切りの結果、妻が「介護うつ」に」でした。
<仕事を優先させた父親に、子どもが突きつけた「何が大事なのか?」>
娘から「お母さんがかわいそう。もっと早く帰ってきて、夜の介護を交替したりお母さんの話を聞いたりしてあげて」と迫られましたが、「お父さんだって忙しいんだ」と言うしかありませんでした。 「お母さんがこうなるまで、どうしてお父さんは仕事の仕方を変えなかったの?お父さんにとって、人生の優先順位って何なの?」
妻が比較的動きやすい立場にいると、育児・家事だけでなく介護も任せやすい傾向はあるでしょうね。そこで精神的にも夫のフォローがないとなると、こんな風に絶望してしまう危うさもあるのだと思いました。 私の母も主に介護をやっていました。義母の介護を近距離で行いながらも、介護施設に入っていた実母に定期的に会いに行っていました。 細かい夫婦間でのやり取りまでは汲み取れませんでしたが、おそらく母のリフレッシュには父は寛容だったような記憶があります。 働く夫+専業主婦のみならず、共働き世帯も増えてきて、兄弟も少ないとなると、どうなっていくんだろう・・・ という不安も読みながら感じつつも、親の健康を願いながらも「全く知らないで不安がる」ことよりも、「知っておく」という姿勢になろうと思わせてくれる1冊だと思います。