「悩めるママに贈る心のヒント―子育ての本音スケッチ」

悩めるママに贈る心のヒント―子育ての本音スケッチ

 

大日向雅美先生の本が昨年出ていたということで、図書館で借りてみました。 「出産は"子育ての森"へと新たに歩み出す第一歩です」--こんなまえがきから始まる本。

章立ても「5つの森」にたとえて、子どもを出産してめぐる様々な関係、環境について、おそらく実際に大日向先生が女性たちから相談されたことの中から選んでくれた「不安」「悩み」「戸惑い」に対するヒント集です。

 

1の森 赤ちゃんと私―子育ての森に慣れるまで

・とにかく不安。何がわからないかさえわからない

・退院後、お医者さんも看護師さんもいない自宅に帰るのがコワイ

・何をしても泣き止んでくれない赤ちゃん。ホントは、私だって泣きたい

・今の願いは、連続で8時間ぐっすり眠ること

・母乳、抱っこ、泣き、離乳食-いろんな説があるけど、いったい何を信じればいいの?

・ネットやメールなしの子育てなんて、絶対無理!

・泣き止んだと思って降ろしたら、またすぐに抱っこ。1日中何もできません

・予定通りに動けないと情けなくなる

・ばい菌やウイルス、放射能……。怖くて、外に連れて行けません

・最新の赤ちゃんグッズ。いろいろあると便利だけど、実は不便かも?

・うちの子、大きい?小さい?ほかの子と比べて不安になります

・全責任を私が負っているような緊張感が、ツライ ・離れると泣くし、目が離せなくて気が休まらない。もう、ヘトヘトです

・育児に生産性がなく、時間を無駄にしているような気がする

・初めての一時保育。行きは気分も軽やかなのに、帰りはなぜか急ぎ足

・赤ちゃんと一緒に感じる、新しい世界

 

2の森 夫と私―ともに歩くために

・「ウンチはオレ無理!」とか言われると倒れそうになる

・家事も育児もしない「化石のような夫」。あきらめるしかない?

・子どもを前にあたふたする夫。こんなに頼りない人だったっけ?

・「やっぱりママがいいみたい」と言って、すぐに私にバトンタッチ

イクメンで助かるけど、それ、私がいつも普通にやっていることなんですけど……

・「もっと子どもの気持ちに寄り添って!」なんて、あなたに言われたくない

・「今が一番幸せなのに、何が不満なの?」と言われて泣きたくなった

・話し合いたいのに避けられる。困っているのは私だけ?

・夫が子連れで旅行に行きたがるけど、考えただけで面倒くさい

・夫はビシッとキメてスーツで出社。それに比べて私は……

・子どもが産まれてから、夫に対する関心がほとんどなくなった

・夫の育児休業、取る?取らない?

・私の仕事やキャリアのこと、理解してくれてる?

・ずっと専業主婦だった私。「お前も働いてくれ」と突然言われても……

・夫との信頼関係は、壁を乗り越えることで深まりますか?

・お互いのダメさ加減が隠せない。ちょっとがっかり

・ケンカで理解が深まれば、同じ景色も違って見えてくる、かな?

 

3の森 バアバ、ジイジと私―ほどよい距離

・「抱きぐせがつく」「三つ子の魂百まで」と、昔の子育ての知恵を振りかざす

・こちらの都合も考えず、頻繁に孫の顔を見にきます

・「もっと連絡して」「会いにきて」と言われても、それどころじゃありません

・実家が遠いので、近所にいる人がうらやましい。口を出されてもいいから大人の手がほしい

・預かってくれる約束だったのに当日になって断られた

・実家の父母に甘えっぱなしです。申し訳ないけれど、お金を払うのも気が引けます

・パーフェクトな母の影がちらついて、落ち込みます

・お菓子やおもちゃ、お小遣いを与え放題。食事やしつけへの配慮が違うので心配

・ひな人形やランドセル、実家同志の奇妙なかけひき

・愛嬌のある孫ばかりひいきするので、かわいそう

・同居をやめたいと言い出せません。でも、もう限界です

・親と祖父母の思いの違いは、時代の違い?努力すれば理解し合えるの?

・私が小さかったころの祖父母との思い出、今も懐かしく思い出します

・ジイジやバアバは、孫に何かを与えてくれる人?

 

4の森 ママ友と私―仲間がいれば心強い!?

・赤ちゃんと2人きりの生活は、やっぱり孤独

・ママ友って、どこでどうやって作ればいいの?

・年齢では先輩だけど、ママとしては後輩?ママ友との関係がなんとなく複雑

・ケンカやおもちゃの取り合い。叱る基準にも迷います

・プライベートにズカズカ入り込んでくるママ友、どうすればよいか戸惑います

・面倒だから、ママ友なんて欲しくない!

・金銭感覚が違うママ友とのおつき合い、気を使います

・ママ仲間から外されたくない。でも本音では語れない

・一緒にいるときはいい顔しているのに、陰口を言うママにうんざり

・習い事、まだしなくていいと思うけど、ほかの子が始めると焦ります

・保育園、幼稚園、お受験、ママ友の考え方に影響を受けてしまう

・価値観が近いママをネットで見分けてつき合っています

・ママ友がいたから助かった!小学校になっても助け合える同志です

 

5の森 地域と私、社会と私―森の力を借りる

・社会から切り離され、夫にも置いていかれ、陸の孤島です

・幼稚園や保育園の役員だけには、絶対なりたくない

・資格もスキルも何もない私。働きたいけど、どうすればいいかわからない

・育休中に勉強をしたいけど、なんとなく後ろめたい

・「家事も育児も今まで通りやるなら働いてもいい」と、夫や姑に言われるけど、難しい

・仕事を始めたら家事まで手が回らず、家族みんなにストレスが

・「子どもをほったらかしてボランティアするな」とおこられました

・子どもを誰かに預けてまで、働きたいとは思わない

・疲れ切った自分の姿が鏡に映って愕然とした

・子どものかんしゃくに私も感情的に。ご近所から虐待かと思われたらどうしよう

・離婚したい!シングルの子育ては覚悟が必要?

・追い詰められているママ友に、私ができることありますか?

・子育てをすることで、私は人より成長できるでしょうか?

 

 

(出版元となるNHK出版サイトやamazonなどで、細かい章の目次を出してくれたら、何かひっかかるところを読んでみたいとなるのに、そうは出ていませんでしたね) あらためて読んでみると、この数年のめくるめく(笑)己の妊娠・出産・子育ての中で、少しは子育ての森に足を入れて、空気を吸ってきて、ちょっと息もつけるようになってきたのかなと感じました。 もちろん、これからもまだまだまだまだ出会う不安や摩擦があるでしょうが・・・・ あとがきにて、元々この本の企画としては、「子どもへの虐待や育児ストレスによる重大な事件を予防するような本を作りたい」という編集側からの提案だったそうです。

 

....でも、その母親は、本当にひどい人間だったのでしょうか。その人をそこまで追いつめてしまったものは、一体何だったのかという視点が、忘れ去られていることはないでしょうか。 子育て困難現象の背後には、ただ単に子育て支援策を充実するだけでは解決しようのない、もっと根の深い問題があるのではないでしょうか。 1970年代初めのコインロッカー・ベビー事件以来、母親の育児ストレスや育児不安をずっと見続けてきた私には、この問題は対策を急げばこそ、迂遠のように思える道程を踏むことが必要ではないのか、という思いが強くあってのためらいでした。 それは、夫婦関係や親世代との関係も含めて、母となった女性の全人生を問い直すような視点が必要ではないか、との思いでもありました。

 

と、大日向さんがハウツー的なイメージをもつ「虐待予防」ではない、内容づくりをされたようです。 子どもを産んだからといって、それまでの人生との分断はなくて線上でもあり、でも、様々なことの変化の波が自分から起こさなくてもやってくるものでもあるように思います。

不安を抱えながら、闇の中で目をこらしながら、一歩一歩進んで行くしかない現状だからこそ、1人で頑張り過ぎないことが大事なのです。自分の生き方に自信なんて、持たなくていいのです。 むしろ、自分の力の限りを知ることができれば、子どもの育てに素直に感動し、あるいは周囲の人の力を謙虚に借りることができます。 

そんなエールに押されて、幸せを感じられた育児の森を歩めたら、いいな・・・。